コロナはクルナ、オヤジギャグ📞


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マスク姿の美女たちが集う昼下がりのサロン(多少、誇張しています、ただの居間です)。

 

彼女たちは、コロナウイルスが世間を騒がせた頃から、度重なるオンライン会議(多少、誇張しています、ただのグループラインです)を経て、時には馬淵先生とメール交換をし、入念な準備の元、昨日、顔を合わせたのだった。

 

13時丁度、リーダーはスマートフォンを手にし、馬淵明彦先生の番号を呼び出す。

 

「はいはい、ちょっと待ってね。よいしょ。ここ、夜逃げ寸前の部屋みたいになっててね。ちょっと待ってね」

 

開口一番、美女たちの緊張が解ける。

去年の11月以来の馬淵先生の声に、一同、ほっと胸を撫で下ろす。

 

東京など7都府県は、一昨日の夕方、緊急事態宣言が出された。それを待たずとも、4月の研修会を開催することは難しいことはわかっていた。そして、緊急事態の中にあっても、馬淵先生がお元気なこともわかっていた。それでも、馬淵先生の声を聞くまでは不安だった美女たち。

 

馬淵先生のことだから、リトミックを日本中に(ダルクローズの正しい教えとして)広めたい気持ちが強すぎて、反抗期の子供のように、ご自身の健康を顧みず、安倍首相や小池知事の言うことを無視して私達の元に来てしまうのではないか?…しかし、杞憂だった。

 

少年のような瑞々しい心を持った馬淵先生は、しかし、当たり前だが、大人としての気遣いを、私達に見せてくださった。

 

リーダーが、電話でお話をする約束を取り付けた月曜日のメールの中にあった、馬淵先生の言葉。

 

「漸次」

 

ぜんじ。時間の推移とともに変化するさまのこと。

 

人生の大先輩である馬淵先生でさえ、今まで経験したことのない、この事態。情報は、日に日に変わっていく。なるほど。漸次。私達は、漸次、相談しながら、事を判断していくしかない。

 

中国で新しいウイルスによる疫病が発生したとニュースになったときに、私達、新潟リトミックの会が主催する3月のセミナー、4月の研修会が中止になるとは、誰が予想しただろう。私達の大半がメインの仕事としているピアノの発表会が延期や中止になるだなんて、誰が予想していただろう。

 

美女たち(やはり、誇張しています、ただの役員です)は、日々、変化する社会状況に、ジェットコースターに乗るかの如く、悲鳴を挙げていた。

 

だが、しかし。

 

ジェットコースターは、楽しむための遊具ではなかったか。私達は、悩み、考えることを楽しまねばならない。新潟リトミックの会の会員は、解決したり、向上したりするためのヒントを馬淵先生から受けられる。それは、コロナウイルスの話だけではない。今までも、音楽の面で、どれだけの解決方法を教わり、向上の手掛かりを得てきたことか。

 

美女たちは、新潟リトミックの会の会員が、共に、同じジェットコースターに乗って、悲鳴を挙げつつも楽しめるよう、これからも、メンテナンスを続けることを誓いつつ、電話の向こうの馬淵先生の声を聴く。

 

ウイルスの成り立ちの話、音楽の話、テレビの話、街の様子。コロナはクルナ。オヤジギャグ。リーダーが時折、言葉を挟みつつ、通話時間は46分を僅かに越えたのだった。

 

その後、マスク姿の美女たちは、それぞれの次の行き先へと散っていった。

 

桜が散るのも、もうすぐ。

桜が散った後には、瑞々しい青葉。


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